レオナルド・シャーシャ「真昼のふくろう」
「殺しの時間」でこの作者が紹介されていたので手に取った。
イタリアの巨匠による社会派アンチ・ミステリである。
シチリア島でのある日、満員のバスの中で男が殺される。多くの人に目撃されていたにもかかわらず、その場にいた人間はすべて、そんな事件は見ていないと証言するのである。そこにはシチリアという土壌と、マフィアの影が落ちている。
雰囲気としては「予告された殺人の記録」に近いだろうか。
個人的に、いわゆる社会派な感じがちょっと苦手なので、面白さを理解する前に読み終えてしまったのが残念。(ちなみに社会派で面白いと思ったのは、元祖社会派ミステリ「ケイレブ・ウィリアムズ」かな)
ただ、巻末のおぼえがきが興味深くて、むしろこれがオチなのではと疑ってしまうほどだ。なので、おぼえがきは小説を終えてから読むことをオススメする。
絶版。中古で異常な値段がついてる。
雰囲気が似ている。こっちの方が面白いかな。
予告された殺人の記録posted with amazlet on 06.11.14
余談
こういう作品は映画化すると面白いと思う。監督は、パゾリーニがいいかなと最初思ったけど、ちょっと毛色が違いすぎか。