2008-04-01から1ヶ月間の記事一覧

小林泰三「モザイク事件帳」

一応ミステリの短編集。 「密室・殺人」を読んだ人ならおわかりだろうが、小林泰三のミステリは通常のはかりでは計れない。悲惨な事件が連発するのに、なんだか明るく、ミステリというよりはスラップスティックコメディーに近い。 登場人物も一癖も二癖もあ…

「ニーチェ―ツァラトゥストラの謎」「ハプスブルク帝国の情報メディア革命」

高山宏ブログの影響で購入した本が届いた。高山センセーらしく、話題にされにくい良書を新旧とりまぜて紹介する貴重な書評ブログなのだが、100回を機に終わってしまうらしい…… http://booklog.kinokuniya.co.jp/takayama/ 寂しい限りだが、それだけに読み込…

前田愛「文学テクスト入門」

前田愛と聞いて誰が思い浮かぶかでお里が知れるでおなじみの人。 国文学者というバイアスもあってなのか、とても昔の人だと思いこんでいたので、デリダとかでてきて最初は驚いてしまった。本書は前田愛の残された文章をまとめた一冊だ。最初は固い内容なのか…

ジェシカ・ユー「非現実の王国で ヘンリー・ダーガーの謎」

アウトサイダーアート界でも、もっとも有名でもっとも謎に満ちたヘンリー・ダーガーのドキュメント映画。 彼が数十年にわたって人知れず記された超大作絵巻「非現実の王国」と、晩年にものされた自伝、そしてダーガーを知る者たちのインタビューとが渾然一体…

マリアの心臓「少年愛の美學展―第二部―」

少年愛の美学とは稲垣足穂のエッセイのタイトルだ。このタイトルに引っ掛けて、以前には少女愛の美学という展示が行われていたが、原点回帰で少年をテーマにしている。 今回、偶然にも三浦悦子さんが新作を搬入しに来ており、いくつか話をうかがうことができ…

「クローバーフィールド」

いやー面白かった。 ネタバレがアレな映画ではあるんだけど、それなりにこの映画に興味があって、このネタに気づかない人はいないだろう。子供の頃から特撮とアニメですり込まれた日本人がピンとこないなんて有り得ないと思われる。 マンハッタンの夜にズン…

シャルム・ジェルミナール「キマイラの覚醒」について

昨日のエントリシャルム・ジェルミナール「キマイラの覚醒」 - モナドの方へは当然、エイプリルフールネタなわけですが、ちょっと難易度が高すぎたようで(苦笑)補足をしておくと、余談がヒントになっていて、 ジェルミナール(Germinal)はフランス革命暦…

シャルム・ジェルミナール「キマイラの覚醒」

シュルレアリスムが華やかなりし20世紀前半のフランスで、完全に埋没していた奇書中の奇書。しかしその内容は衝撃的で、文学・哲学・数学等に興味があるなら絶対に知っておくべき一冊だ。 あえて読んでおくべき一冊と書かなかったのには理由がある。まず極め…