2006-07-01から1ヶ月間の記事一覧

マイケル・S. ガザニガ「脳のなかの倫理」

本書は二つの問題をテーマにしている。ひとつは脳科学の発展によってもたらされる新技術の評価である。 スマートドラッグによる脳の強化、着床前診断など遺伝子による命の選別、人はいつから人なのか……という問題だ。これらの技術の発展はすさまじく、すでに…

イーヴリン・ウォー「大転落」

ウザキャラ大集合のイギリス社会を風刺したユーモア小説。 原題は「Decline and Fall」、ギボンの「ローマ帝国衰亡史」をもじっている。 今月に再版されたので手に取ってみた。放校処分にあった主人公、なぜだか遺産ももらえないことになってしまい、しかた…

キェルケゴール「死に至る病」

有名ですね、主にエヴァとかで。 かなり前に買って、ある程度主旨を押さえたところで読むのをやめていたので、今回は最初から改めて読んだ。 「死に至る病」とは絶望のことである、というわけで絶望論。 簡単に主旨をまとめると、キリスト教的には死んでも行…

バーバラ・スタフォード「ヴィジュアル・アナロジー」

「ヴィジュアル・アナロジー」を購入。 パラパラめくった感じでは、もの凄く面白そう。 スタフォードは「ボディ・クリティシズム」が訳されたら読もうと思っていたんだけど、そろそろあきらめて読み始めようかと思います。ちなみに(おそらく高山宏が考えた…

ジャック・リッチー「クライム・マシン」

短いことは良いことだ、を標榜するジャック・リッチーの短編集。 あとがきによると、ジャック・リッチーはエドマンド・ウィルソンを気取って、ミステリをまったく読まなかったそうだ。だけど軍隊生活中、軍のライブラリーに読む本がなくなってしまって、とう…

西垣通「情報学的転回」

タイトルは二十世紀初頭に起きた言語学的転回をもじったもの。情報学者西垣通の語り下ろしである。 西垣通といえば、「思考機械」で人工知能の話なのにホッケの「迷宮としての世界」を引用して見せたりと、異常なまでに博識なマニエリストでもある。本書は、…

ホセ・エミリオ・パチェーコ「メドゥーサの血」

巧い、巧すぎる。ここまで短編が巧い作家もなかなかいないだろう。 ガルシア=マルケス他「エバは猫の中」 - モナドの方へに収録されていたパチェーコの「遊園地」があまりに衝撃的だったため、読後数分後にはショッピングカートに入っていた短編集である。…

アントニオ・R・ダマシオ「感じる脳」

前回が「考える皮膚」だったので、というわけではないんだけど、今回は「感じる脳」である。 原題は「Looking for Spinoza」。神経科学者である著者が感情の研究を進めるうちに、スピノザを再発見してしまったというストーリーになっている。ダマシオの理論…

「ソシュールとアナグラム」「カイジ」

bk1から500円ギフト券が送られてきた。でも3000円以上買わなきゃならない。 まんまとマーケティングに乗って、買っちゃいました。結果「カイジ」がタダになりました。 叢書記号学的実践がどんどん増えてくる……ソシュールのアナグラム―語の下に潜む語posted w…

港千尋「考える皮膚」

鷲田清一「ひとはなぜ服を着るのか」 - モナドの方へで紹介されていたので、手に取った本。 この本(ついでに作者も)、書いてある内容が凄いわりには、あまり有名でないような気がする。もったいない話だ。恐らく、書かれるのが早すぎたということなのだろ…

谷川渥「形象と時間」

一週間前に読んでいたのだが、ちょっと忙しくて今頃レビュー。 タイトルからも読み取れるように、時間と美学がテーマである。最初に言ってしまうと、この二つのテーマに引っかかる人は絶対に読んでおいた方が良い。示唆に富むだけなく、時間と美学というのを…

今野緒雪「マリア様がみてる 仮面のアクトレス」

途中だった「考える皮膚」をほっぽり出して、読んでしまった。 いいね、白薔薇姉妹はさ、ほんと、いいよ。もう、このへんを確認するために読んでいるような気がする。 と主題から全然外れていることを書いているけど、みなさまが注目している部分もちゃんと…

笙野頼子「レストレス・ドリーム」

終わりなき夢の中でゾンビと闘い続ける壮絶なゲームを繰り返す。殺戮の街スプラッタシティ、武器は言葉だ。駕籠真太郎の駅前シリーズを彷彿とさせる世界観で、それをグロテスクな絵ではなくグロテスクな文体表現で描いている。スプラッタシティのゾンビ達は…

Uz jsme doma「In the Middle of Words」

3枚まとめて注文したものが、入荷の関係で一枚ずつ届いている。 これは、ようやくの2枚目。 あいかわらず、変なジャケット。あいかわらず変な曲。 In the Middle of Words (Uprostred Slov)posted with amazlet on 06.07.04Uz Jsme Doma Skoda (1999/10/12…

「マリア様がみてる (仮面のアクトレス)」「情報学的転回」「メドゥーサの血」

バラバラに注文していたものが、一気に届いてしまった。 マリア様がみてる (仮面のアクトレス)posted with amazlet on 06.07.04今野緒雪 集英社 (2006/06/30)Amazon.co.jp で詳細を見る送料無料にするための、材料。情報学的転回―IT社会のゆくえposted with …