5/1文学フリマ東京『犯罪の重』に寄稿しました

@juliu__s主催のショートショート集『犯罪の重』にショートショートを7本寄稿しました。
経緯については以下を参照ください。
日記:本を作るにあたって誕生編 : 重箱のカド


ショートショートアンソロジー『犯罪の重』
A6・310ページ、1000円

なんと30話も入っているので、1話あたり33円という爆裂にお得な1冊です。

第22回 文学フリマ
開催日:5/1(日) 11:00〜17:00
会場:東京流通センター
サークル名:重箱のカド
ブース:サ-16

収録作については以下を参照してください。
犯罪の重 各話タイトルなど : 重箱のカド

それでは、自作のあらすじと簡単な解説をば

アブダクション

ー―万全な処置をほどこされ自宅に帰宅した患者が、数日後「宇宙人に誘拐された!」とありもしない妄言を叫びだす。そんなことは絶対にあえりえないと博士は言うのだが……
誘拐というお題が出た瞬間に、誘拐としてのアブダクションとパースのアブダクション(仮説形成)をひっかけるしかない!と思ったところまではよかったのですが、ネタが使い物になるまで何度も没にしました。

「悪の起源」

ー―宇宙船の乗組員たちが、われわれによく似た生物が住む惑星を発見する。そこでは奇妙な住人たちが、悪に対抗するため奇妙な実験を行っていた。
諸星大二郎『生物都市』のような世界があったとして、意外に困ることになったりしないかな?という疑問から思いついた作品。こういう系のオチが自分的には一番好み。

「合法夢」

ー―言論の自由が保証されているかわりに、危険な夢を見ると犯罪となる世界。違法な夢に悩む主人公のもとに「夢を合法化しませんか」という誘いの電話が……
グレッグ・イーガン『転送夢』みたいな小粋な夢系SFを書きたいと考えていたところ、タイトルが降臨したので、逆算的に書いた作品になります。まあネタ的にはアレです。

「硝子地獄」

ー―生まれつき皮膚病に侵されている男は、自分とは対極的な美しさをもつ硝子を偏愛していた。ますます硝子にのめりこんでいく男が迎える悲喜劇。
10代後半に、江戸川乱歩『鏡地獄』に影響を受けて書いた作品をリライト。ジャンル的には幻想文学になるでしょうか。

「殺人輪舞遁走曲」

ー―誰が誰を殺したのか?誰が誰を殺そうとしているのか?転がる死体の山は一体誰なのか?それに気づいた時、この俺は……
20代に、ジョイスユリシーズ』と柳瀬尚紀の読解をよんで感銘を受けたころに書いた作品。句点がでてこない実験文学的ミステリ?です。
途中出てくる変な擬音は柳瀬尚紀ユリシーズ読解からの引用です。

「エーヴィッヒ・ハウザー最期の死術」

ー―死ぬことを芸として披露している男に奇妙な仕事のオファーが……そして訪れる驚くべき最期。
グレッグ・イーガン万物理論』の冒頭のエピソードが好きなので、死者蘇生モノでここは一作と思い、頭をひねりました。わりと几帳面にロジックを詰めています。
名前は仰々しいのだったら何でも良かったのですが、カスパー・ハウザーみたいなのにしたかったという。

「オメガの棋士

ー―アルファ碁がトップ棋士に勝利してから二十数年後。突如として現れた無敗の棋士、ハンドルネームomega。最強のAIと対局することになるomegaの正体とは。
囲碁研究を少ししていた人間として、アルファ碁の勝利はあまりに鮮烈でした。結構ギリギリだったのですが、わりとネタがすぐに思いついたので無理やりねじ込みました。
宮内悠介の某作品とネタがほぼ被ってるという気もしますが、まあ時事ネタということでお許し下さい。
途中で出てくる囲碁AIの名前は、自分が修論の時に作っていた詰碁ソフトの名前です。