ルディ・ラッカー「四次元の冒険」

四次元という概念をさまざまな観点から考察してみようという内容。初歩的な平面世界から始まり、最後には理論物理学とからめながら世界の深淵に迫る領域まで拉致される。注釈などもちゃんと読むと雑学も仕入れられるという素晴らしい一冊である。
SF作家らしく状況説明を小説風に記述しており、図も豊富でのみこみやすい。逆に、もっとガチガチなのに慣れてるとうざいと感じてしまうかも。
特徴的なのが、章が終わるたびに思考実験的なクイズが出題されるということ。難易度もさまざまで、簡単には答えられない問題も多いが、これを考えることで章の理解がより深まるような仕掛けになっている。
最初は第四の次元の軸を空間として
そこに時間軸が加わったあたりから、グッと話は面白くなる。時間が円環をなしていた場合の思考実験などはSF作家ならではのアイデアが炸裂している。ボルヘスの話が引用されているあたりもニンマリしてしまった。

本書の元ネタになっているヒントンの本。昔読んだけどなかなか面白かった。