ロバート・チャールズ・ウィルスン「時間封鎖」

昨年話題となったSFを今更ながら読了。
地球全体が巨大な黒い膜に覆われ、その外の世界は1億倍のスピードで時間が流れている、というシチュエーションから始まる。次々とアイデアが展開されると言うよりは、人間ドラマを交えながらじっくりと。またそのアイデアも突拍子もないトンデモではなく、きわめて現実的で、シチュエーションから演繹されるものばかりだ。
グレッグ・イーガンの『宇宙消失』と比べるムキもあるようだが、これは優劣と言うより好みの問題だろう。個人的にはイーガンの方が性に合っている。極限状態の人間を描くという意味では本作の方が上。おそらく一般の基準から言えば、本作の方が好きな人が多いと思われる。
次は『無限記憶』に続くわけだが良いところで終わるらしいので、完結編の第三部が出てから通読したい。

時間封鎖〈上〉 (創元SF文庫)
ロバート・チャールズ ウィルスン
東京創元社
ASIN:4488706037

時間封鎖〈下〉 (創元SF文庫)
ロバート・チャールズ ウィルスン
東京創元社
ASIN:4488706045

余談

しかし、チンボコにカテーテルを突っ込んだぼくが車椅子に座ったまま出勤すると思ったら、とんでもない間違いだぞ
――上巻210P

チンボコ?