飛鳥部勝則「堕天使拷問刑」

色々と事件のあった飛鳥部勝則ですが、帰って参りました。待ってました。
「堕天使拷問刑」といういかついタイトル通りの、そして期待通りのとんでもない話になっている。

古の因習が残る日本の村が舞台なのに、なぜだかキリスト教ベースというファンタジーにつっこむのは無粋というもの。というかこの小説、ツッコミ始めるといくらでも文句をつけられてしまうので、その辺は脇にどけてキチガイじみたどす黒い世界観にドップリとつかりながら読む必要があるだろう。

中学一年が主人公なのに、去年までランドセルを背負っていたとは微塵も感じさせない会話の応酬。そしておなじみ、異常な知識満載の(そしてどこかネジが飛んでいる)登場人物達。毒電波に汚染されたとしか思えない女子たちや、邪気眼バリバリの友人などに囲まれて、繰り広げられる血みどろのボーイ・ミーツ・ガール。
そのインパクトの連打は、途中、ミステリであるということを完全に忘れてしまったほどだ。

一応、どんでん返し的なトリックなどもあるんだけど、終盤になるとそんなのどうでもいいくらいの精神状態になること受けあい。
狂った、あまりにも狂った世界観に、飛鳥部勝則健在の徴を見ることができるだろう。

余談

途中で出てくるオススメモダンホラーの文章が妙に笑える。それにしても中学生でこれ全部読んでたらテラーですよ。