はたよしこ編著「アウトサイダー・アートの世界」
アウトサイダー・アート関係の書籍はほぼ網羅しているため、当然のごとく購入。これまで持っていた書籍とかぶるところも多いけど、目新しいものや、これまでは少しだけの紹介にとどまっていた者がドーンと取り上げられていたり充分に楽しめる内容になっていた。
「東と西のアール・ブリュット」とサブタイトルに題されているように、他の書籍に比べ日本作家の紹介にページがさかれているのが嬉しい。また、全文にわたって日本語と英語が併記されているので、海外のお友達にプレゼントするにももってこいだ。
コラムも幾つか載っていて、特に斎藤環のアウトサイダー・アートとの向かう方法が面白かった。曰く、
1.「批評」の禁止
2.「鑑賞」の禁止
3.「診断」の禁止
そして、
4.目撃し、関係せよ
である。
たしかにアウトサイダー・アートを批評するにはある種の困難さが伴う。それはアートが基本的にはアルス=技巧的なものであり、また他者に対するプレゼンテーションであることを前提としているからだ。対してアウトサイダー・アートは必ずしも技巧を伴うわけでもないし、完全に閉じた自己の世界で作られたもので他人の評価をまったく要求しない。絶対の孤高にあるのだ。
それでも、目撃した人間に強烈なインパクトを残す。自分もその殴られたようなスパークにも似た衝撃を求めて、アウトサイダー・アートの書籍を漁っているのかも知れない。
アウトサイダー・アートの世界―東と西のアール・ブリュットposted with amazlet on 08.02.11
余談
パラレル・ヴィジョンが1万円以上で取引されるとは、空前のアウトサイダー・アートブームなのだなあ。
と思って、よく見てみるとkwckyhmさんのカスタマーレビューがヤバイことになっている。
→パラレル・ヴィジョン―20世紀美術とアウトサイダー・アート