ロブ=グリエ「幻影都市のトポロジー」
ヌーヴォーロマンの旗手、ロブ=グリエの第7作。
いかにもロブ=グリエという感じで、何に似ているかといわれると、ロブ=グリエの「迷路のなかで」に似てるとしか言いようがない。
章のそれぞれが断片的な内容で構成されており、その文章のイメージというか薫りを味わいながら読み進める小説ということになるだろう。
前半はレーモン・ルーセルの「ロクスソルス」のような雰囲気で、奇妙な情景が延々と続く。後半はもっと叙情的になってきて、一人語りがありながらも、個人的にはロートレアモンの「マルドロールの歌」を思い出した。
訳者あとがきにも中身について特に詳しい解説はない。とにかく説明しづらい小説なのである。
基本的には絵画そのももの描写や、情景描写といった静的なイメージが多く散見される。読んでいるうちに、小説を読んでいるというよりは、現代美術を鑑賞しているような気分になってくる。
現代美術が、一見、インパクトはあるけど意味不明だったりするように、ロブ=グリエの小説はとっつきづらい。しかもほとんど無味無臭という、淡泊な味つけになっているので、なお一層だ。
しかし、じっくりとその文章を味わってゆくうちに、何か薫りのようなものは感じられるはずだ。バラバラに解体されたアンチ・ストーリーのなかに、独特の味わいを探ってゆく。そういう努力(読力?)が試される作品だと言える。
というわけで初心者はオススメできない。
バリバリ絶版のためAmazonにも載ってない。古本で探してください。
(ちなみに入手するのは結構大変でした)
読者を迷宮に誘う。
シュールレアリスムのプロトタイプ。ミシンと蝙蝠傘との手術台のうえの不意の出逢いのように美しい!
外部リンク
本書を知ったキッカケは、偶然発見したこのサイト。なんだかとてつもないことが書いてある。
→http://www3.ocn.ne.jp/~greenbox/robgriet.htm
→http://www3.ocn.ne.jp/~greenbox/analy.htm
余談
古本で購入したら、裏表紙に以前の持ち主の名前が書いてあった。変わった名前だったので思わずググってみたら、こんな人だった。
→http://homepage3.nifty.com/hoitoyawa/