「ホテル・ルワンダ」

ルワンダで起きたジェノサイド事件をテーマにした映画。
思ったより金がかかっていてエキストラも多い。そのほとんどが難民と死体である。

ルワンダのジェノサイドでは100万を超える人々が虐殺された。いくら大がかりの映画でも100万人の死は扱えない。そこでホテル・ルワンダでは、実話を元に、あるホテルで起きた物語を描いている。主人公の愛するものたちが、危機にされることで、数字が現実味を帯びてくる。

実話を元にしている映画だが、ドキュメンタリーではなない。当たり前だが実際には人は死んでいない、すべてフィクションだ。だからこれが現実だなどという浅い理解の方が危険かもしれない。そんな中で、絶え間なく続く銃声がリアルに耳に残る。これほど銃声が絶えない映画も珍しい。朝も夜も銃声。ロマンチックなシーンだろうが銃声である。

自分は戦争を体験したことはないし、非常に安全な日本という土地で生活している。そういう人が見たとき、民族紛争って怖いねえ、で終わってしまうのは、ある意味仕方がないことだろう。ルワンダで、あの虐殺が現実であるように、日本では、この安寧こそが現実なのだ。
ゆえに、それぞれの現実の中で、主人公の行動をどう受け入れてゆくかが問われる映画であるように思える。

仮に、これが実話を元にした映画でなく、まったくのフィクションだとしても、よくできた面白い仕上がりになっている。サディスティックな興味本位でもいいから、見ておいたほうがいい。見れば、これが実話であるなどということは、些末なことだということがわかるだろう。素晴らしい映画の中で登場する人物たちはすべて現実である。現実以上とも言える。それはシンドラーのごとき主人公だけでなく、虐殺を続ける民兵もまた……

さらに詳しく知りたい方は、ぜひこの本を手にとってほしい。

ジェノサイドの丘〈上〉―ルワンダ虐殺の隠された真実
フィリップ・ゴーレイヴィッチ Philip Gourevitch 柳下毅一郎
WAVE出版 (2003/06)
ISBN:4872901584

ジェノサイドの丘〈下〉―ルワンダ虐殺の隠された真実
フィリップ・ゴーレイヴィッチ Philip Gourevitch 柳下毅一郎
WAVE出版 (2003/06)
ISBN:4872901592

注意!

午前中、わりと早めにいったにも関わらず、満員で次の回まで待つはめに。
メチャ混んでるので、これから見ようという人はご注意を。