アルフレッド・ベスター「虎よ、虎よ!」
アルフレッド・ベスター「分解された男」 - モナドの方へに引き続き、SFの古典。
宇宙に放置された男の復讐劇である。「分解された男」もそうだったが、筋立て自体はわりと古典的。悪く言えばありがちだ。こういう復讐劇はこれまで何度となく書かれてきただろうし、これからも書かれることだろう。
しかし、そこに付随するギミックや言語感覚、アイデアが奇想にとんでいるので、全体としてセンス・オブ・ワンダーを感じることができる。
オーソドックスな料理なのだが、スパイスや料理法が変わっている、そこがベスターの味なのだろう。
「分解された男」でもあったような、J♂SEPHやM♀IRAといった変な名前や、ラストの方にでてくるカリグラフィー的な演出もステキ。また、主人公の名前がガリヴァーというのもスウィフトのファンなら見逃せない。