佐々木正人「レイアウトの法則」
日本におけるアフォーダンス理論の第一人者。
本書はタイトルからしてデザイン、アートとの関わりを感じさせる。なので、仕事でUIなんかを考える際にも使えるかなーなんて思いながら読み進めた。
ジェームズ・ギブスンのアフォーダンス理論の肌理やレイアウトという概念を、理論的に、また対談のなかで深めあいながらデザインとの接点を探っていくというような主旨。対談相手は建築家やデザイナである。
アフォーダンスがデザインに応用できるか? みたいな論議から、ギブスンの理論の深さへと踏み入ってゆく。アフォーダンスというものを「ドアのノブがつかむことを促す」くらいに単純なレベルで考えていたのではダメだということがよくわかった。実際、自分もその程度の理解しかなかったので、これは大いに収穫。
また、あわせて紹介されている「ベルンシュタイン問題」というのが気になった。
これは動物の動きをプログラムでシミュレートしようと考えた場合、間接等の自由度が多すぎて一気に計算量が爆発して制御不能になるという問題である。さらに、これがコンピュータの中でなくロボットなど自然界のものの制御となれば、外部環境も計算に織り込まなくてはならず、どうにもならなくなってしまう。
ニコライ・ベルンシュタインの仕事は面白そうなので、今後、追ってみたい。
レイアウトの法則―アートとアフォーダンスposted with amazlet on 05.10.29