大丸ミュージアム「巨匠デ・キリコ展」

キリコの形而上絵画がずらりと並べられた美術展。ただし割と同系統の作品ばかりがならんでいるので、ちょっと飽きるかも。

ポール・デルヴォーの実物を見たときも思ったのだが、だみこみが甘い。遠くから見る限りではのっぺりとした空や壁なのだが、近くで見れば見るほど、塗り切れてないところや、描き直した跡がよくわかる。
シュルレアリスム的でない絵を見る限り、基礎技術はしっかりしているようなので、アイデアが先行したために綺麗に仕上げていくのが面倒だったんじゃないだろうかと考えてしまった。
そのため表面が綺麗に仕上げられている金属彫刻は非常に完成度が高い。我が家にもひとつ欲しいところだ。

キリコが今の時代に生きていたら、3DCGを使っていたんじゃないだろうか。一回モデリングしたら使い回せるから、どんどん新しいものを作っていける。そんな風に想像してみるのも面白い。

また会場に展示されていた解説に、カルヴィーノが寄せた文章が紹介されている。キリコの形而上絵画と東洋の時間を比較した内容で、荘子(だったかな?)の蟹の絵の話が引用されていて、その話が非常に面白かった。

ちなみに一番上手いなあと感じたのは自画像でした。