種村季弘「迷宮へどうぞ」

種村季弘が文、川原田徹が絵を担当。
子供向けの絵本と思ってあなどるなかれ、クレタ島伝説などのスタンダードなところから、コメニウスやシュヴァルの理想宮といったマニアックなところまでフォローされている。貴重な図案も沢山載っていたり、めくるだけで楽しい。

やはり種村季弘だけあって、素晴らしい論理展開。大きな町って迷宮みたいだよね、という話から……

17世紀の、コメニウスという学者は、町だけでなく、この世界ぜんたいが迷宮なのだとかんがえていました。

とか、入れ子の説明では、

わかりやすくいうと、おかあさんのおなかに、あかちゃんがはいっていますね。あれは人間の入れ子です。

などと、たまらない記述が満載。
最後のオチは、子供たちをビブリオマニアへ誘う一文で締めくくられている。

本も、一種の迷宮なのですね。
(中略)
迷宮も本もふくざつになればなるほど、おもしろいんだ。

その通り!グッジョブ!