若桑みどり「美術とジェンダー」(レオノール・フィニ展の講演)
群馬県立近代美術館にて、若桑みどりによるレオノール・フィニ展の記念講演を聞いてきました。なかなか痛快な講演で、かつデンジャラス。こんなの放送できないよ!というライブでないと体験できない素晴らしい内容でした。
講演の趣旨は、以下の通り。
文学理論にどっぷり漬かっていた頃にジェンダー理論の本も結構読んでいて、また若桑みどりの著書も何冊か読んでいたので、復習がてらに聞くことができました。やはり、こういう形で教わると、混沌としていた脳の中の情報が整理されて見通しが良くなります。
政治ネタとTVネタが多かったでしょうか、ハードゲイとか、佐藤ゆかりたん(原文ママ)とか、ゆかりたんとかゆかりたんとか……
個人的に受けたのはジュディス・バトラーの「ジェンダー・トラブル」はフィニの解釈に役立つけど、超難しい!というネタ(ネタじゃないか)
若桑センセーは非常にわかりやすく説明してくださいました。
またセジウィックの「男同士の絆」は超面白い!と推しまくってったので、いい加減そろそろ読もうかなと思いました。
難しいけど、結構大事なことを論じている。(ような気がする)
ジェンダー・トラブル―フェミニズムとアイデンティティの攪乱posted with amazlet on 05.10.04若桑みどり氏一押し!
男同士の絆―イギリス文学とホモソーシャルな欲望posted with amazlet on 05.10.04
最後に、ちょっとお話することが出来たので、「『ジェンダー・トラブル』難しいですよね」とか世間話をしてきました。
こちらも参考になります。
→レオノール・フィニ展::若桑みどり:::『美術とジェンダー』 - 眼力矯正指南(当方・視力0.2)©
あとで考えたこと
ジェンダーがいまいち浸透してないのはなぜなんだろうと考えると、一部のフェミニズムが男女の対立構造みたいなのを色濃く出してしまっているのが問題なんだろうなあと感じる。
家父長制やホモソーシャルの中で苦しい思いをしている男もいることは確かだし、男女共同参画社会の洗礼を受けていない男がいきなり家事や子育ての手伝いをしろというのも(残念なことに)難しいだろう。こういう「男らしさ」を研究するのはマスキュリニズム(男性学)の分野になるんだろうけど、ジェンダーという問題に一般化していかなくちゃならない。となるとフェミニズムとマスキュリニズムのすりあわせが、今後ますます重要になってくるのだと思われる。
しまった、これらの現状がどうなっているのかを質問しておけば良かった。