レオノール・フィニ展

場所は群馬県立近代美術館Bunkamuraでやっていたものの巡回展である。

どんな人かというと……

レオノール・フィニ(1907-1996年)はアルゼンチン人の父とイタリア人の母のあいだに、さらにその先祖にはスペイン、ヴェネツィア、スラヴ、ドイツ、ナポリといった、さまざまな混交する血と種族の愁いを兼ね備えて生を受けました。黒い瞳に黒い髪、強烈な魅力をもつ彼女は、幻想的な作風を示すレオノラ・キャリントン、ドロテア・タニングにならぶ、異色な女性シュルレアリスム画家としてパリで鮮烈なデビューを果たします。エルンストやバタイユら、ときの詩人や芸術家と親交を結び、1935年以降、パリ、ロンドン、ニューヨークで絵画展、書物の挿絵やパリオペラ座での舞台装置、バレエや映画の衣装、小道具、はては宝石のデザインまで手がけました。

群馬県立近代美術館の案内から引用。
http://www.pref.gunma.jp/hpm/bunka/00178.html


簡単に言うと猫が大好きなシュルレアリストのお姉さんです。

会場へ向かうと、まずは猫を抱えるフィニの写真がお出迎え、そして10代の頃からの絵が年代順に並べられている。シュルレアリスムの絵画は近くで見るとアラが目立ったりすることもあるのだが、非常に精密に描かれていることがまず印象的だ。

そして目に飛び込んでくるのが、襟を立てて凜とした眼差しのフィニの自画像だ。なんていうかもうカッコよすぎ。これだけでご飯三杯いける。
ついでに言えば、6歳くらいの頃のセーラー服姿の写真が可愛すぎ。ほんと、フィニかわいいよフィニ。
実のところ自画像がステキすぎて、こればっかり見てました。ただ残念なことに、図録やパンフレットに使われている写真が本物に比べると妙に汚く、髪の毛の優麗な雰囲気を見て取ることができない。本物はもっとステキなんですよ。

まあ、そういう偏った見方はさておくとして、フィニの画風は年代別に五つの時期に分けられている。

  1. トリエステから 1925年〜30年代
  2. シュルレアリスム 1930年代〜50年代
  3. 鉱物の時代 1950年代〜60年代
  4. エロティシズム 1960年代〜70年代
  5. 円熟期 1980年代以降

個人的にはトリエステシュルレアリスム、鉱物の時代に興味がいく。特に鉱物の時代は興味深い。ギーガーのような有機的骨格フォルムがうねくねっているのだが、そこには少女性が内蔵されている。ちょうど三浦悦子の義躰少女のようだ。
他の時期を見てもゴシック少女に通じる精神があるように思える。作風は変わりつつも、猫を愛し、死と乙女を生涯貫き通した精神が胸を打つ。今こそフィニと向かい合う時代なのかもしれない。

とにかく多才なフィニ。小説も書いてます。

来週、若桑みどりが講演に来るので、また見に行こうと思っている。

余談

図録の正誤表の量が尋常じゃないんですけど、何かあったんでしょうか?