麻耶雄嵩「神様ゲーム」

最初に注意:ミステリの評はネタバレ防止のためテキストを背景と同色にしたりしてます。しかし、RSS全文配信していると完全に無視されてしまうので悪あがきはやめました。ネタバレはしてませんが、先入観なしで読もうと考えてる人はここで退却してください。


かつて子どもだったあなたと少年少女のための――ミステリーランド。気合の入った造本で絵本調のイラストがふんだんに盛り込まれている。しかし内容は少年少女のためというよりは、かつて子どもだったあなた向けの作品が多いというこのシリーズ。麻耶雄嵩のことだからやってくれるとは思っていたが、本当にやっちゃったよこの人。
殊能将之の「子どもの王様」を意識しているのか、「戦隊もの」のディテールに妙に力が入っているのが可笑しい。殊能センセーがワーグナーなら麻耶センセーはユダヤ教(ラビレンジャーの冠は律法戦隊なんでしょうか)。そしてロボットの名前は血みどろ。お世辞にもお子様向けのネタではない。

それでも前半は、まあ普通である。出だしのノーマル感はいつも通りと言えるかもしれない。
死体を発見したあたりから歯車が狂い始め、ラストは完全崩壊。そして驚愕の(というか卒倒する)真相。ああ黒いよ、黒すぎるよ。

とてもじゃないが子どもには読ませられません。
読み終わってから挿絵を見直すと、何やらサイコでドス黒く見えます。

とはいえ麻耶雄嵩のファンは、そんな容赦のない崩壊カタルシスが大好きなんですよね。

最大のミスディレクションはこのシリーズが子ども向けということだろう。

余談

「God's truth」という英題がついている。
そういえば以前インタビューで、麻耶雄嵩神学大全とか面白いですよ」と言っていたなあ。