ウリポ

ジョルジュ・ペレック「煙滅」

フランス語で最も多く使われるアルファベットのE(うー)をまったく使わず書かれたノベルが、まさかの邦訳! 胸を膨らませてたものの、まさか翻訳されるとは思ってなかったので、心の底から驚かされた。邦訳では、仮名の「ある段」をまるまる使わぬアクロバ…

レーモン・クノー「あなたまかせのお話」

レーモン・クノーは有名でありながらも、その作品が正当に読まれていない作家であると思う。そういう意味では知られざる作家の未訳短編集ということにもなるだろう。 クノーは保守的な部分と前衛的な部分を両方持っており、文学的でありながらもユーモアのセ…

マット・マドン「コミック 文体練習」

1つのストーリーを99通りの方法で描き出すという、レーモン・クノーの「文体練習」に激しくインスパイアされた作品。コミックへの翻訳といっても過言ではないだろう。実はあまり期待せずに読んだのだが、思っていた以上には面白かった。クノーへの敬愛と…

「水声通信 no.6(2006年4月号) 特集ジョルジュ・ペレック」

キタコレ。ついに来た。ジョルジュ・ペレック特集ですよ。 これを買わなきゃ何を買うってなもんですよ。ペレックといえば、ポテンシャル文学工房ウリポの代表選手である。 代表作はフランス語にもかかわらずEを一回も使わない長編小説「失踪」(当然未訳)。…

ハイカイザシオン

「加藤郁乎詩集」 - モナドの方へで、書こうと思って忘れていたことを追記。じつは加藤郁乎の詩を読んでいて思い出したのは殊能将之の「美濃牛」だった。美濃牛の中では句会が開かれ、へんてこりんな俳句が数多く披露されるのだが、加藤郁乎の詩集と比較して…

いや、まだあるよ!(ジョルジュ・ペレック)

表現形式としての技法(レーモン・クノー「文体練習」) - モナドの方への続き。 文学実験工房ウリポのリーダー的存在がレーモン・クノーならば、目映い閃光を放つスターがジョルジュ・ペレックだ。ウリポの実験的手法をクノー以上に徹底的にやってのけた。…

表現形式としての技法(レーモン・クノー「文体練習」)

たわいのない日常の光景を、99通りの文体で書いた、ただそれだけの作品。ただそれだけ、で済まされないところがレーモン・クノーの上手いところで、実験的作品でありながら充分エンターテイメント性を兼ね備えている。 とにかく面白いので、人に(無理矢理)…